第1章 怪しげな依頼

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 有り体に言えば、金に釣られたってことか。 「あの……まさかとは思いますけど、枕営業とかあやしい会員制クラブとかじゃないですよね」 「いや、大丈夫。それはない。そこはちゃんと確認済み。信頼できる筋からの話だしさ。それにそっちだったら、きみじゃなくて別の子に話がいくんじゃないかな。例えば……あの子たちとか」  酒井さんはそう言って、飽きずにしゃべりつづけているリサと絢奈のほうを見た。  うーん。なんか今、さりげなくディスられたような気がしないでもないけど。 「とりあえず、さ。おれの顔を立てると思って、話だけ訊きに行ってくれない? こっちから連絡すれば、迎えに来てくれる手筈になってるから」 「今、スグですか? それもひとりで?」 「おれ、これからちょっと外せない用事があるんだよ。でも先方は急いでるみたいでさ。どうしても今日中に来てほしいんだと」  うーん。どうしよう。
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