第1章 怪しげな依頼

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 母親の話では、わたしの曾祖母は気風と気前がいい、と評判の芸者さんだったそうだ。  その血を完全に受け継いでいるわたしだけれど、この性格が災いして、いままでだいぶ損をしてきた気がする。  でも、性分だからなぁ。  今さら、治しようもない。 「わっかりました。面接、行きますよ。でも、もし、マジでやばそうな話だったら、断ってもいいですよね」 「ああ、そのときはすぐ電話して」  酒井さんはほっとした様子で、依頼主に連絡するために胸ポケットからスマホを取りだした。
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