第1章 怪しげな依頼

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   車が発進してから、おそるおそる声をかけてみた。 「あの……あなたがご依頼主ですか?」  男は前を向いたまま、バックミラーごしにわたしに視線を向けた。 「いえ、違います。わたしは依頼した人物の秘書をしている者で、湊と申します」 「なんでわたしなんかに話が来たのかしら?」 「さあ。私はただお迎えに上がるようにと命じられただけですので」  そっけなくそう言うと、もう話は終わりというように目線をそらした。  もうー、やっぱ怖いよー。  今からでも、ドア開けて飛び降りようかな。  でも、こんな往来の激しい場所じゃ、後続車に轢かれるのがオチだろう。
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