第1章 怪しげな依頼

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 まさかとは思うけど、実は酒井さんもぐるで、わたしをやっかい払いしようとしてるとか?  次から次へと浮かぶ疑惑で頭がいっぱいになったとき、ようやくエレベーターは停まった。  湊さんが先に降り、扉に手を添えて待ってくれている。  あれ、意外と紳士じゃん。  そっか、秘書だって言ってたっけ。  扉を一歩出ると、そこはもう大きなオフィスの入り口だった。  受付に向かうアプローチの壁面には〈SERIZAWA〉の文字とトレードマークが、プロジェクターで映しだされている。  受付には、パリコレのモデルと言っても通用するような金髪の外国人女性と、ピシッとした黒のパンツスーツの、やはりとびきり美人の日本人女性が坐っていた。 「来栖エリカ様ですね。少々お待ち下さい」
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