第1章 怪しげな依頼

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 とりあえず、反社会組織の線は消えて、ほっとした。  芹澤グループと言えば、旧財閥系の、日本有数の大企業だ。  でも、今度は自分がひどく場違いに思えて、居心地が悪くなった。  わたしの今の服装、プチプラ・ブランドの小花柄のブラウスとデニムのマキシ・スカートだもん。  浮きまくるって、ここじゃあ。  もう、面接って聞いてたら、せめてスーツぐらいは着てきたのに。  でも、本当に、なんでこんなところに呼びだされたんだろう???    「どうぞ」  黒パンツスーツの女性に導かれて、大勢の人が立ち働く広いスペースを抜けて、どう見ても、お偉いさんの執務室とおぼしき両開きの扉の前へ連れて行かれた。  妖怪ジイさん登場の線が濃厚だな。  もし、変な目にあいそうになったら、どうやって逃げようかと、頭のなかでシュミレーションしながら、こわごわその部屋に足を踏み入れた。  
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