第1章 怪しげな依頼

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 入ったとたん、不思議な感覚に捉われた。  あれ、なんか見たことある、この部屋。  でも、こんな立派なオフィスに来るのは、もちろん初めてだし。  “デジャヴ”ってやつかな?  「副社長、来栖エリカ様をお連れしました」  「ああ、お通しして」  予想に反して、若い男性の声がした。  あっ、わかった!  さっき、事務所でみた雑誌に載ってた部屋じゃないか、ここ!  って、ことは……。  「突然お呼び立てして申し訳ない」 濃茶色のマホガニー材の大きなデスクの向こうで、チェアから立ち上がって微笑んでいる男性。  妖怪ジジイなどではなく、どこか少年っぽさを残した青年実業家。  そう、わたしの目の前にいるのは……1時間ほど前、雑誌で目にした若きイケメン副社長、芹澤宗太、その人だった。  じゃあ、ここはサニーヒルズ・ビレッジのオフィス……  わたしは思わず、息を飲んだ。  
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