1210人が本棚に入れています
本棚に追加
第2章 麗しき副社長
芹澤さんは、わたしに歩み寄り、自信に満ちた笑みを浮かべ、手を差し伸べた。
「芹澤宗太です。どうぞよろしく」
「は、はい。どうも」
わー、こうして直接会うと、あの写真の何万倍もカッコいい。
緩めのパーマがかかった黒髪。
くっきりした眉に、まるでロットリングで引いた線のように完璧なラインの二重まぶた。
黒目がちの大きな瞳。
顎の線が細く、すっきりした顔立ち。
そして、光沢の美しい生地を使った、仕立のよい濃紺のシングル・スーツを見事に着こなしている。
それに、弱冠27歳で、会社の副社長という重責を担っているだけあって、成功者オーラも半端ない。
もう、まぶしすぎて、目が潰れそう。
実際に会った印象は、雑誌の印象とは比べものにならなかった。
いやいや、申し訳なかったです、とわたしは心のなかで詫びていた。
イケメンすぎて興味がわかない、とか偉そうなこと考えて。
謹んで、前言撤回させていただきます。
最初のコメントを投稿しよう!