第2章 麗しき副社長

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 通路の横幅は、ふたりで並んでも充分な広さがあった。  けれど横並びは気が引けたので、わたしは彼の後ろをついて歩いていった。  良く晴れていて、通路にさんさんと光が降りそそいでいる。  見上げると天井はガラス張りで、そこからクリスタル・ビーズの“のれん”のようなものが5メートルおきぐらいの間隔で吊り下げられている。  それが乱反射を起こして、光のきらめきが増幅されていた。  その様子があまりにも美しくて「わあ、綺麗。光の雨を浴びているみたい」  と、思わず子どもみたいにはしゃいだ声を上げてしまった。  すると芹澤さんは振りかえってわたしの顔を見ると、頷いた。 「うん。この通路、いいでしょう。もうひとつ、地下通路もあって、そっちはカフェやコンビニもあるから便利だけど、ぼくはこっちのほうが好きなんですよ」
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