第2章 麗しき副社長

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 天上まで高さがある重厚な造りの木製の自動ドアを抜け、高級ホテルのロビーのようなエントランスを通り抜けるとコンシェルジュカウンターがあった。 「芹澤様、お帰りなさいませ」 「何か届いてる?」 「はい、こちらです」  コンシェルジュの男性(この人もかなりの高レベル。もちろん、芹澤さんの足元にも及ばないけど」から郵便物を受け取り、生体認証キーがついたエレベーターで5階まで上がる。  エレベーターの扉が開くと、そこはもう部屋に通じるアプローチ。  このエレベーターは彼の部屋専用ということらしい。 「さ、どうぞ」 「おじゃまします」  シューズ・イン・クローゼットでスリッパに履きかえ、ダウンライトが灯った明るい廊下を抜け、リビングへ。  扉が開いた瞬間、思わずポカンと口を開けてしまった。  なんなの、ここ。  本当に個人宅なの?  こんなゴージャスなリビングルーム、今まで見たことがない。  テレビで、海外セレブのお宅拝見とかやってるけど、その部屋に充分に匹敵する。  いや、それ以上かも。  無理―――っ!  やっぱり無理だ。  この人の恋人役なんて。
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