第2章 麗しき副社長

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 わたしの困惑する様子が面白いのか、彼はふっと相好を崩す。  唇から白い歯がこぼれた。    歯並びもパーフェクト。  なんて爽やかな笑顔。  この笑顔なら、雑誌の表紙モデルだって、充分こなせる。 「実は今、ぼくに縁談が持ちあがっていてね。相手はさる政治家のお嬢さん。彼女が来年大学を卒業するので、それを待って結婚という話になってるんだ」  いわゆる政略結婚だよ、と芹澤さんは付け加えた。 「ただ、その政治家にはいろいろ黒い噂があって、そんな人物と姻戚関係になるのは会社のためにならないからと断ったんだけど、芹澤ホールディングスCEOの叔父が首を縦にふってくれなくてね」  現在、芹澤グループの一社が政府関連の事業をライバル社と競っているところで、落札のためには件の政治家の口利きが有効らしい。  そのため彼の叔父である芹澤政喜CEOはこの結婚を押し進めようとしていた。
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