第2章 麗しき副社長

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「もちろん、今すぐに、とは言ってないよ。2カ月かけて、とびっきりのレディになってくれって話だ。だからパーティーまでの間、ここに住んでもらって、ぼくがお呼びする先生にマナーを教わって、身につけてほしいんだ」  いや、2カ月でレディって、そんなの不可能。 「お話はわかりましたけれど、それはあまりに荷が重すぎます。なにしろ、わたし、開店休業中の売れないタレントですから。とても無理です」  芹澤さんは微笑みを崩さず、瞳を輝かさせて、断言した。 「いや、きみならできる」  なんでそんな自信たっぷりに。 「その根拠は?」 「信頼のおける占星術の先生が探りあてた人だからだよ、きみは。北の方角にいるイニシャルがE・Kの女性を恋人役に選べば、成功するって言われたんだ。それで調べさせたら、ここから真北の方角にきみの事務所があって、タレント名鑑を見たら……」  この人のくせなんだろうか。  また、人の顔をじっと見つめてくる。
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