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駅からタクシーを拾うのももどかしく、私は走った。
アパートの前に辿り着くと、奇跡のように宅配便のトラックが見えた。
運転手がエンジンをかけようとするところに私は大きく手を振って、発車を止めた。
なぜだかアルバムが届いている確信があった。
帰宅して、ライトをつける。慌てて箱を空けて、アルバムを開き、めくる。
公園の日だまりの中、お揃いの服で並ぶ小さい頃の私達。
家族写真でいつも私の隣だった真由。
入学式、制服姿で可愛く笑う真由。
怒涛のように押し寄せてくる懐かしさを振り切り、最後のページを開いた。
手が止まった。
棺の中、花々に囲まれた真由がいた。
色とりどりの花は美しく、まるで絵画のようだったが、真っ白な顔には生気がなかった。
真由は本当に死んでいた。
いや――私の中で、今、死んだ。
どれくらいの時間が経っただろうか。
箱を片付けようとすると、何かが落ちた。
封を切っていない手紙だった。
「部屋を片付けてたら手紙が出てきた。そのまま送る」
兄が書いたふせんが張り付けてあった。
「お姉ちゃんへ」と丸っこい字で書いてあった。
真由の字だ。
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