妹とのこと

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 手紙を読み終えた私は、カレンに電話した。 「マイカ、どうしたの?」 「妹が死んだの」  驚く彼女に「正確には三年前なんだけど、今日やっと受け入れたの」と付け加える。  彼女は慰めの言葉を口にしてくれた。 「今日、なんとなく様子がおかしいなと思っていたのよ。待ってて、子供を寝かしつけたらゆっくり話が聞けるわ」 「ああ、いいの。今日でなくても」  遠慮する私に彼女は何度も確認し、結局は明日、金曜日にリモートで飲み会することに話がまとまった。 「じゃあ、温かい飲み物を飲んで、今日は早く寝なさい。ぐっすりとね」 「ありがとう、おやすみなさい。カレン」  私は電話を切り、温かいココアを入れた。  冷えた体に染み込んでいく。  姉妹でなくて、友達だったらまだうまくやれたのだろうか。  距離を置ける存在であったなら、真由、あなたの輝きを見守る優しさが持てただろうか。  わからない。どんな難解な論文よりも難しい。  きちんとわかる前に、真由はいなくなってしまった。  生まれ育った町より、もっと遠く、永遠に手の届かないところに。若く可愛いまま。  それは少しずるい気もしたけど、そう思った私の心の嫌な部分が有ることが、今は嫌ではなかった。 「死ぬのが早すぎたのよ……」  つぶやきは狭い部屋に消えていった。  きっとこのはっきりしない気持ちのまま、また来年も深く彼女を想うだろう。     寝て起きて、朝が来る。  今日も飛行機は飛んでいる。だけど私は乗れない。  いつかこの感染症が収束し、堂々と日本に行ける日が来る。  そうしたら、真っ先に妹の墓参りに行くと決めている。
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