妹とのこと

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「お姉ちゃんへ  本当はこの手紙、お姉ちゃんが海外に行く前にわたそうと思ったのに、馬鹿だから考えまとまらなくて、今ごろ書いてます。  いつ渡せるかな。できれば会ったときにわたしたいです。  ネットでもいいんだけど、既読スルーされたら悲しいから。  ファミレスでのことはごめんなさい。  ううん、ずっとごめんなさい。  私、ずっとお姉ちゃんみたいになりたかった。  お姉ちゃんは私みたいに飽きることがなくって、まっすぐ一つの道を行ける人で、尊敬してた。  小さい頃からなんとなくそれは思っていて、真似したら私もお姉ちゃんみたいになれると思ってたの。形から入るタイプだったの。    お姉ちゃんに嫌がられてるってわかってたけど、真似することしかできなくて、大学が離れちゃった時はさびしかった。  おそろいにしていた服もバッグも、片方しかないと思うと意味がなくって。「これお姉ちゃんも持ってるんだ」と思うとうきうきしてたの。  本当は、お姉ちゃんの手にあるときの方がどれも輝いていたのにね。  男の子達だって私を喜ばせようと色々してくれるけど、飽きちゃうの。  最近ようやくわかったけど、私男の子が好きなんじゃなくて、恋愛していると認められた気になって嬉しくなるの。私自身は何も変わっていないんだけど、頭いい人と付き合えば私の価値も上がるみたいな気がしてた。  そういうことが、あの日ファミレスでお姉ちゃんの夢を聞いて、わかった気がしたの。  お姉ちゃんがたくさん勉強して、どこに行っても大丈夫なくらいになれたのって、自分を大事にしてたからだよね。  私にもできるかな。  今からでも、何かできるかな。できるといいな。  いつかそっちにも遊びに行くね。  それまでに、海外旅行のお金出してくれるような旦那様でも見つけなきゃ。  私、今のところそれくらいしか取りえないから。  書きすぎて頭痛くなってきちゃった。お姉ちゃんは仕事で英語の論文書いたり読んだりするんでしょう?  すごいな。やっぱかなわないね。  いつも応援してる。尊敬してる。自慢のお姉ちゃんだよ。  体に気をつけてね。  今度会うときには、私も自慢の妹になれていますように。 お姉ちゃんの妹の真由より」
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