96人が本棚に入れています
本棚に追加
「お姉ちゃんへ
本当はこの手紙、お姉ちゃんが海外に行く前にわたそうと思ったのに、馬鹿だから考えまとまらなくて、今ごろ書いてます。
いつ渡せるかな。できれば会ったときにわたしたいです。
ネットでもいいんだけど、既読スルーされたら悲しいから。
ファミレスでのことはごめんなさい。
ううん、ずっとごめんなさい。
私、ずっとお姉ちゃんみたいになりたかった。
お姉ちゃんは私みたいに飽きることがなくって、まっすぐ一つの道を行ける人で、尊敬してた。
小さい頃からなんとなくそれは思っていて、真似したら私もお姉ちゃんみたいになれると思ってたの。形から入るタイプだったの。
お姉ちゃんに嫌がられてるってわかってたけど、真似することしかできなくて、大学が離れちゃった時はさびしかった。
おそろいにしていた服もバッグも、片方しかないと思うと意味がなくって。「これお姉ちゃんも持ってるんだ」と思うとうきうきしてたの。
本当は、お姉ちゃんの手にあるときの方がどれも輝いていたのにね。
男の子達だって私を喜ばせようと色々してくれるけど、飽きちゃうの。
最近ようやくわかったけど、私男の子が好きなんじゃなくて、恋愛していると認められた気になって嬉しくなるの。私自身は何も変わっていないんだけど、頭いい人と付き合えば私の価値も上がるみたいな気がしてた。
そういうことが、あの日ファミレスでお姉ちゃんの夢を聞いて、わかった気がしたの。
お姉ちゃんがたくさん勉強して、どこに行っても大丈夫なくらいになれたのって、自分を大事にしてたからだよね。
私にもできるかな。
今からでも、何かできるかな。できるといいな。
いつかそっちにも遊びに行くね。
それまでに、海外旅行のお金出してくれるような旦那様でも見つけなきゃ。
私、今のところそれくらいしか取りえないから。
書きすぎて頭痛くなってきちゃった。お姉ちゃんは仕事で英語の論文書いたり読んだりするんでしょう?
すごいな。やっぱかなわないね。
いつも応援してる。尊敬してる。自慢のお姉ちゃんだよ。
体に気をつけてね。
今度会うときには、私も自慢の妹になれていますように。
お姉ちゃんの妹の真由より」
最初のコメントを投稿しよう!