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あるところに、ひとりぼっちのバクがいました。
そのバクはすごく内気で、大変臆病で、とても寂しがり屋でした。
嫌われたらどうしよう。
無視されたらどうしよう。
馬鹿にされたらどうしよう。
不安がいつも空回りして、誰かに話しかけるなんてできません。
けれどバクのご飯は、誰かの夢でした。
そして夢は、近寄らないと食べられないのです。
お腹が空いてしまうたびに、バクは息を潜めて誰かの枕元に現れ、こっそり夢を食べるのでした。
ある日、いつものようにバクが自分の寝床でじっとしていますと、一人の男の子が現れました。
「きみはだあれ?」
バクはびっくりしましたが、不思議と逃げ出したくはなりませんでした。
緊張でぷるぷる震えながらも、おっかなびっくり自己紹介をします。
「ぼくはバク。夢を食べるバクだよ」
誰かと話をするのは久しぶりで、声はふらふらと揺れています。
そんな挙動不審なバクの様子を、男の子は決して笑いませんでした。
「ねえ、バク。ぼくとおともだちになってくれる?」
そればかりか、そんな優しい言葉をかけてくれました。
こうしてバクに、初めての友達が出来ました。
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