カウント0

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 咲良は飛び上がり、両足の裏側を相手の胸元にぶち込む。ドロップキックだ。  未海はロープの反動もあって、大きくのけ反り、後ろに倒れた。ライトがミストになった汗を幻想的に照らす。  咲良は、倒れた未海の目の前へ中指を立てて見せた。 「私を殺すんじゃなかったのか、クソ〇ッチ」  それに怒った未海が、お返しとばかりに下から咲良を蹴り上げた。 「ふざけてこと言ってんじゃねえよ、ヤリ〇ンがぁぁぁ」  未海はそう言うと、またしてもロープに走る。下からの攻撃でよろめいていた咲良に二度目のドロップキックの余裕はなかった。  バウンドで戻って来た未海は、飛び上がり、咲良の頬目掛けて肘を叩き込んだ。未海の得意技ジャンピングエルボーだ。  そして倒れた咲良に覆い被さり、フォール。  レフェリーがマットを叩くため、片腕を大きく振りかぶる。  そうか、いい友達ができて良かったな。大事にするんだぞ。  分かってるよ。てか、お兄ちゃんは心配しすぎなんだよ。  心配するさ。あんなことがあったんだからな。  まあ、そうだけど……。  とにかく、無理するんじゃないぞ。
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