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「うん、頭いいしサッカーもめちゃめちゃ上手い」
「サッカー?私の弟もずっとサッカーしてますよ。◯◯ってクラブチームに入ってるんですけど、知ってますか?」
「ウソ!弟のチームと一緒だよ。偶然だね。まあ、隣町だからありえることだけどさ」
僕は上機嫌に笑ってみせた。
「私、見たことあるかもです。弟の応援によく行くので」
「そうなんだ。じゃあわかるかもよ?一度見たら忘れられないかっこよさだからさ」
「そうなんですか?かっこいい人多いからなあ……一応何人かは思い浮かびますけど」
彼女も僕に合わせて大きく笑った。
「今日、弟に相見さんの弟さんのこと聞いてみるね」
「はい。もしご迷惑じゃなかったらそうしてやって下さい」
高校の最寄り駅に到着すると、隣で英単語の勉強をしていた女の子と一緒に、手を振りながら降りていく彼女。友達といても僕と話してくれるなんて、もしかするともしかするかもしれない。という邪念が頭から離れなくなる。
そうやって勝手に期待して勝手に落ち込むことが今まで何度あったか逐一思い出して、何とか平常心を保っていた。
*
「お前のサッカーのチームにさ、相見くんっていない?」
弟はちらっと視線を上げ、意味深げな瞳を僕に向けた。
「……いる。いるどころか同級生だけど、何で?」
「実はその子のお姉ちゃんと友達なんだ」
相見さんの話をするだけで自然と声が弾む。友達、と説明するだけでなぜか無性に照れてしまう自分がいた。
「……友達?」
「うん」
「ふーん」
弟は興味なさげに視線を反らしたが、話を続けた。
「お姉さんなら知ってるよ。よく応援に来るし」
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