僕の弟がかっこよすぎて涙腺崩壊する

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 弟は生まれたときから天使のようにかわいらしく、僕はよく見る猿の赤ちゃんだった。生まれてすぐの赤ちゃんはみな猿だと思っていたが、弟を見て初めて、本当に尊い人は生まれたときから尊いものなのだと知る。  すくすくと育った彼は天使のようなかわいらしさに、小悪魔のような茶目っ気と、大人びた色気を合わせもつようになった。振り返る女子たちの目はハートになっているし(ハートの目ってアニメやマンガだけの話じゃないんだぜ?)、靴箱に手紙が入っているなんてことはしょっちゅうだった。  何で手紙?アナログすぎない?と思われるかもしれないが、このご時世だからこそあえて手紙にするとか、そもそも女の子は手紙が好きな生き物だと思う。  さらに付け加えると、弟はスマホを持っていなかった。何で持たないのか、サッカーのクラブチームの連絡や部活動連絡などで不便じゃないか、と尋ねると 「教えたくない人にも教えることになりそうだから」  澄ました顔でそう答えた。  つまりはみんなに連絡先を聞かれまくって面倒くさい、そういうことだろう。  ちなみに僕は中学一年生のときからスマホを持っているが、同じ卓球部のやつ以外に連絡先を聞かれたことはない。部活や塾の帰りに、迎えをお願いするため親を呼ぶくらいしか活用されない寂れたスマホ。動画アプリとSNSは大活躍だが、知り合いと絡むことはほぼない。
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