僕の弟がかっこよすぎて涙腺崩壊する

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 弟が素晴らしいのは外見に限ったことではない。べらぼうに頭がよかった。べらぼうって意味はよくわからないが、たぶん彼にこそふさわしい言葉な気がする。  彼は小さいころから、サッカー、バスケ、体操、などのスポーツをかけもっていたが、塾や勉強関係の習い事は一つもしていなかった。一方、僕は英語と理系科目を小学生のころから習っていたので、勉強は不得意ではなかったし好きだった。  しかし、成績は断然弟の方が上である。塾なんか一つも行ってないくせに!スポーツばかりで勉強なんかしてこなかったくせに!  一学年四クラス、百四十人ほどと大きくはない中学校だったが常に彼は一番だった。いつだったかポロっと漏らした弟の声を聞いたことがある。 「あれ……二番だ。何でだろ?まあ、勉強してなかったからしゃーないか」  くっそこのやろー、同じ中学校に三年間通った僕は、どんなに勉強しても総合で二位が最高順位だった。必ず一位に山田さんがいて、そんな山田さんみたいな弟は勉強もしないで二位を取ってしまう。  さすがに中学校ではバスケと体操をやめて、クラブチームのサッカーに絞り、部活は美術部に入った。  絵なんか好きだったっけなと、コンクールに出した絵を見せてもらうと異次元で、弟のような美しさと破滅を兼ね備えた絵だった。同じ両親から生まれたとは思えない。  母親さえよく、 「お兄ちゃんはパパっぽいけど、あなたは誰に似たんだろうね。お母さんでもないし」  そんなことを呟いていた。強いていうなら弟の体型は母親に近いと思う。スレンダーで背が高い。本当にそれくらいなもので、顔は全く違った。
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