僕の弟がかっこよすぎて涙腺崩壊する

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    * 「あれ、先輩また会いましたね」  そうにっこり笑いかけてくれたのは、ひょんなことで知り合った同じ高校一年生の女の子だった。   春の球技大会で同じ卓球を選んでおり、男女は別々だが会場は同じで仲良くなった。同じクラスの女子たちを応援しているとき、ちょうど近くに彼女と友人たちがいたのだ。 「先輩、卓球部だったんですか?お上手ですね」  最初に話しかけてきたのは彼女の方で、僕が返事に困っていると、 「す、すみません。たまたまさっき試合を見たので」 「ああ、そっかそっか。見てくれてたんだね。中学生のとき卓球部だったんだ」  そんな風にして僕らは知り合った。  しかもこれまた偶然、何と僕の利用する駅の隣町の駅から乗車しているようで、よく朝出会うようにもなった。  部活は吹奏楽で帰りは遅いらしく、朝の登校時にしか会うチャンスはない。小柄だが元気で朗らか、僕みたいに何の取り柄のない男にも笑顔で話しかけてくれる。そんな彼女に今朝も出会えてルンルンすぎる。 「大学はもう決めてるんですか?」 「三年生だからさすがにね。あとは共通テストの結果しだいで変えると思うけど」 「何学部狙いです?」 「法学部だね」 「法学部!弁護士ですか?」  彼女は体の向きを変えて前のめりになる。 「まあ、そんなとこかな。裁判官とかも気になるけど」 「へぇー、頭いいんですね」 「いやそんなことないよ、弟の方がもっと頭いいし」 「……弟さんいらっしゃるんですか?」  心なしか彼女の声が小さくなった気がした。
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