僕の弟がかっこよすぎて涙腺崩壊する

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「うん、そう聞いたからお前も知ってるかと思ってさ」 「付き合ってるの?」 「違う違う、僕の片想いだよ!」  弟にはどうせすぐにバレてしまうから嘘はつけない。 「片想いねぇ……」  弟が少し考え込むように宙を見上げている間に、その話題は終わった。  後日、驚くべきことが起きた。いつもと変わらない学校の帰り道、自宅の最寄り駅で電車を降りると、改札の外に相見さんがいた。僕の弟と一緒に……  弟はサッカーの練習が休みの日だったが、相見さんは部活のはずだった。僕は改札を出ることもできず、少し離れたところでただ呆然と立ち尽くした。  そもそも何で相見さんがこの駅に?たまたま偶然?いやそんなことはないよな。弟に呼び出された?いや、普通に考えたら相見さんが呼び出したと考えるほうが妥当か。  弟から女の子を誘うことはなかった、少なくとも今までは。どうせ彼から誘わなくても、本気になれば彼は女の子の方から誘わせるすべ(すべ)も持ち合わせていると思う。  何を話しているのかは全くわからなかったが、弟の表情から読み取るに真面目な話なようだった。そのうち、若干面倒くさそうな態度になってくる弟。全然相見さんと目を合わせようとしない。  弟よ、相見さんにその態度はよくないよ……。  しばらくすると相見さんが足早に改札から入ってくる。ふと顔を上げて僕の存在に気がついたようだった。 「先輩も今帰りですか」  どこか気持ちここにあらずで、視線がふわふわと定まっていないように見える。 「う、うん」  弟と何を話していたのか気になってしょうがなかったが、チキンの僕には聞けなかった。 「用事でこの駅まで来たんですけど、知らない駅って新鮮ですね」
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