僕の弟がかっこよすぎて涙腺崩壊する

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「まだ学校行かないの?」  颯爽とキッチンを通りすぎる弟は朝ごはんを食べたのだろうか。 「コンビニで焼き鳥食べるもん」  朝から焼き鳥とは、ニワトリにでもなろうとしているのか。 「まさか。おいしいから食べるだけ」  ガチャリとドアが閉まり、ゆったりと広がる余韻が僕の胸に残るが、慌てて立ち上がり追いかけるように家を後にした。  弟は中学二年生、僕は高校三年生でもうすぐ受験を控えていた。中学生の買い食いとか許されるのだろうかと思うが、弟は大人びており一緒にいると僕が弟に間違えられるくらいだった。  最初は否定こそすれ、最近では当たり前のことなので否定するのさえ億劫でそのまま流している。  なぜか弟には僕の心が筒抜けだった。 「顔に全部出てるし」  弟が今この場にいたらそう答えるに違いない。  彼は今自転車にまたがり、さっさとコンビニへと向かう最中だ。あの背中は間違いなくコンビニを目指している。そういうちょっとふざけた、でも嬉しげに弾むような表情の背中だった。  そんな僕の弟はめちゃめちゃかっこいい。今に始まったことではない。彼がこの世に生を賜ったときからずっと変わらず、いやむしろ日に日にその美しさは増すばかりだった。  当然僕らには格差がある。外見はもちろんのこと全てにおける格差がそこには君臨していた。  格差社会とは社会だけの問題ではない。家庭内でも起こりうる現象なのだ。
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