元気に過ごす毎日

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元気に過ごす毎日

 みうみさんは、子猫たちにはピンクの柔らかい布でできた袋状のものを持ってきてくれた。  くしゅっと縮めてれば、子猫たちが潜って眠るのにちょうどいい。  みうみさん宅の先住猫の一匹、通称女王様が使い込んだものだった。 「女王様のにおいが二匹についていれば、受け入れてもらいやすいと思って」  さすが、みうみさん。先住猫さんに受け入れて貰えたなら、四匹仲良く暮らせる。早速、ケージの中に据え置くと、二匹はもぞもぞと中に入ってくつろいでいる。  みうみさん宅へ行くためのステップを整えておくと、二匹も、むろん先住猫さんたちにもいいだろう。  二匹が離乳したので、食事の間隔もひろくなりわたしも眠れるようになってきた。それでも、心配なので一緒の部屋で寝たり、隣の寝室で休んだりした。  朝、お腹が空くとぴーぴーと鳴く声がする。わたしは飛び起きて、ご飯をもっていく。すると、ケージの出入り口(ネット状のファスナーで開閉する扉)にしがみついて盛んに鳴いている。わたしの顔を見ると更に声は大きくなる。必死の形相にちょっと吹き出してしまう。  ケージをあけると、わたしの足下にからみついて 「はやく、はやく」とせかす。  ご飯をおろすと、お皿に一直線。あとは、無我夢中で食べている。  思えば、ミルクしか飲めない、トイレもできないと言う状態から、あっという間に育つものなんだなとしみじみしてしまう。  和室から勢いよく廊下に飛び出したら、三毛がいて「シャーッッ」と威嚇されてびっくりすることもあった。ハチワレはなんだか、ゆかしい視線を子猫に送ったりした。  わたしが一緒に昼寝をするときなどしまちゃんはわたしの首の横にぴったりくっついて寝るし、もふちゃんは足下のほうの毛布にくるまっていた。  子猫二匹と寝るなんて、たぶん生涯一度きりの体験だろう。  和室を遊び回る二匹を見ているだけで、幸せな気分になる。  とはいえ、まもなく約束の日は近づいている。  前日の土曜日、気温もあがって暖かだったので、まずはお腹がまん丸になったもふちゃんをお風呂にいれた。  お風呂と言っても洗面所のボウルにお湯をためたものだ。犬猫用のノミダニもとれるシャンプーでもふちゃんを洗う。細くて柔らかいもふちゃんの毛は、あちこちでからんでいた(背中には大きなハゲがあるだが、それは毛玉を病院で切られたあとだ)。床屋さんで使うような平たい目の細かい櫛ですくと、毛に付いていた汚れがとれていった。  あまり長時間入れないようにと、手早く洗ったた。湯上がりのもふちゃんは、見違えるような猫になっていた。毛がふわふわになって、とても立派だ。相変わらず、頭の毛は爆発しているが。  ついでに、しまちゃんもせめてカピカピになった毛や、薬で黄色くなった口の周りをきれいにしたくてちょっとだけお湯につからせた。  ミルクで堅く乾いていた毛が、お湯でほぐされて汚れが落ちていった。口の周りも、櫛ですいたら少しは白くなった。  お風呂上がりの二匹は、とても立派になった。  新幹線の切符を買ってきた。猫用のケージの分は当日窓口で買ってくださいと教えられた。  準備は整った。明日は、みうみさんの家へ行く。  
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