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つづく不調
火曜日の朝、もふちゃんの元気がまたなくなっていた。
昨日はあんなに元気が戻ったのに。膨らんだ風船が一夜でしぼんでしまうように、もふちゃんはぐったりしている。
再び、みうみさんへ連絡&病院へと連れて行った。
「小さい子は、すぐ体調を崩すし、すぐ元気になったりするから」
と先生は言った。診察台に乗せられたもふちゃんは、首をつままれて下ろされるとそれきり、ぐったりしている。
「首のところを持ちあげて、そのまま首が落ちてしまったらまずい状態」
先生は、昨日と同じく気付け薬を注射して、点滴をするためにもふちゃんのお尻から右足にかけて毛刈りをした。たよりなくふわふわと刈られていくもふちゃんの毛。
ああ、神さま。もふちゃんの前足は白くて白しくてかわいいです。大きくなった姿が見たいです。どうか、助けてください。
「このまま点滴します。明日までこちらに預けますか?」
「お預けします、よろしくお願いします」
もふちゃんは、病院へ一泊することになった。明朝まで、様子を見ていただけることに。
わたしは、思いあがっていたんだろうか。
ずっと猫と暮らしていたから、子猫のお世話だってやったことないけどできるはずだって、勘違いしたんだろうか。
保健所の職員さんが「ん?」と言ったのは、「この人、大丈夫か」と思ったからだったんだろうと、いま気づく。
どうか、どうか、もふちゃんが助かりますように。食事はろくに喉を通らなくなった。
一匹だけ残った、しまちゃんを家に置いておくのが不安で、事務所へと連れてきた。事務所には、主であるキジトラがいるが、しまちゃんのケージには近づかなかった。
しまちゃんは、母にもやってくるお客さんにも大好評だった。とにかく、小さくて人懐っこくて、かわいい。しまちゃんの瞳は大きくて、猫というよりリスみたいだった。
数時間おきにシリンジでミルクを飲ませ、まだトイレは使えないので排泄の介助をする。
しまちゃんは、介助されるときむずがって「ニャー!ニャー!」と元気に鳴くが、やがて濡れたティシュの中にオシッコをするときは、諦めたような「ニャーァァァァ……」と鳴くのが定番で、おかしくも可愛らしかった。
とうとう一匹だけになってしまった、しまちゃん。
夜はわたしも同じ部屋に寝るとはいえ、囲いの中にはひとりだけだ。夜の湯たんぽをセットしてから、ふと思い出した「とけいをいっしょに入れてあげるといいですよ」。
そうだ、時計を入れよう。ちょうど小さい時計があったので、湯たんぽのすみっこに時計を置いてあげた。
明日はどうか、よくなりますように。時計と一緒に眠るしまちゃんを撫でた。
※その晩、キジトラが実家で激おこだったと翌日聞くことになる。
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