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早速私はエア・トランシーバーを使い、自分の心に話しかけました。
「こちらフレグランス。こちらフレグランス。イブニングペアーどうぞ」
私の名前は伊香夕梨です。つまり、伊香さんが夕梨さんに話しかけているってわけ。
「こちらイブニングペアー。現況を報告せよ。どうぞ」
瞳の中に素敵な男を映したまま、伊香さんが答えます。
「目標を捕捉した。これより攻撃に移る。車掛の陣で行く。援護を頼む」
こないだ時代劇に出てきた戦法だ。何をするのかはまるで分かんない。
「了解。慎重かつ大胆に攻撃せよ。目標はすでに陥落間近だ。健闘を祈る」
エア・トランシーバーで自分自身と話した後、私は強い気持ちをもってカフェの中へと飛び込んだ。
「突撃ィィッ!!」
幸いなことにドアは開いていた。心の中で前転して銃を構える。目標は接客中だ。近くで見るとマジでイイ男。彼の全身を舐めまわすように眺める。
顔ちっちゃ! 足ながっ! 指ほそっ! 金髪で目が青い。外国人か、ハーフか。うおお、笑顔すげえ! こいつは神か天使か! どえらいモンを見っけちまったなあ、おい!
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