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さくらがいなくなって一年後、さくらはボロボロになって帰って来た。
「どうしたんだ? さくら」
「ただいま、お兄ちゃん。罠だった。馬鹿だった。あんなのについて行って」
倒れた傷だらけのさくらを僕はひざまずいて抱きしめた。
頭の上から声がした。
「あなたいったいその子に何したの?」
これまた、綺麗な女子大生くらいのお姉さんがそこにいた。
「何って……、それより、君、かわいいね」
「……つっ……かわいいって、その子の記憶からあなたが警戒しない姿で近づいただけ」
「と言うことは、同類なのか? 仲間なのか? 君たちはどう言う存在なのだ? 妖怪なのか?」
僕の問いにその子は苦笑いを見せた。
「あなた、やっぱり私が見えるのね。妖怪や幽霊は見えないらしいから、あなたは神だけを見ることができる能力者」
「神? 君たちが? 嘘だろ」
「あなたがさくらと呼んでいる存在が何なのかわかってないみたいね。その子は最高神から人間に対する憎悪を植え付けられて、この世に降り立った神なの。世界を破滅に導くためにこの世に来たのよ」
「んー、理解が追いつかない。さくらが昔言ってた難しい話か? だったら、僕、わからんわ」
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