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夏の夜の砂浜
引いては寄せるを繰り返し
つどつどできる小荒れた波を
月明かりがぼやぼや照らしてく
うねりとともに見えるのは
まるでそれ、タールの海
砂鉄を多く含むがゆえに引き立つ黒の輝き
いっそ飛び込んでみようか
漆黒のタールなら
手足を絡め取り、沈ませてはくれないだろう
もがき苦しみ果てた先
疲労とともに訪れる至福の眠気
そのまま眠ってしまおう
眠った先には何が見えるだろうか
濁りかけた思考に飛び込む日の光り
波打ち際の境が見え始めてくる
練られたタールのような海原も
さらさらとした海水に戻ってゆく
ああ、朝がやってきたんだ
細く広がるオレンジ色が白みを増してゆき
やがて太陽の偉大さを知る
私は生きることを託されたように
今日初めての太陽を全身に浴びる
海水がさらさらと波打つように
私の思考も緩やかに温かく
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