02 愛し合う男達(2)

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02 愛し合う男達(2)

昼時のバーガーショップは大いに賑わっていた。 ダイチは、レジカウンターで淡々と客をさばいていく。 「いらっしゃいませ、ご注文は……」 「俺だ……」 「おー、カイト! きてくれたのか」 「ああ」 「もうすぐであがりだ」 「じゃあ、外で待ってるよ」 カイトは、片手を上げて店を出て行く。 それをダイチは見送った。 ダイチは、大急ぎで着替えるとカイトの元へと駆けつけた。 静かに音楽を聴いているカイト。 その背中に抱きつく。 「待たせたな! カイト!」 「……ん? ああ、バイト終わったか。お疲れダイチ」 「すぐに、フェス会場行くだろ?」 「いや、時間あるし……楽器屋付き合えよ」 「ああ、いいぜ」 二人は行きつけの楽器屋へと向かった。 「すげぇ、アコースティックもいいなぁ……俺、もう一本買おうかな」 壁に飾られたギターの数々。 ダイチは、目をキラキラさせて眺める。 「……って、カイトは何見てるんだ?」 「ん? エフェクターをな……」 「ふーん。なぁ、カイト。俺、バイトで金貯めて新しいギター買っちゃおうかな? こいつ。カッコよくない?」 ダイチが指差す先は、高級ブランドの一級品。 カイトは、ため息をついた。 「無駄無駄……お前はまずオレがやったエレキで練習しろよ。次買う時は、コードをひと通り弾けるようになってからだ」 「あははは。それだと、しばらく無理だな。俺、全く上達してねぇから!」 「こら、自信もっていうな!」 カイトは、ダイチの頭を優しくコツンと叩いた。 その後、二人はカイトの試奏の順番待ちで、ベンチに腰掛けた。 「なぁ、カイト」 「なんだ?」 「俺ってさ、やっぱりギターできたほうがいいかな」 「なんだ改まって。さっきの気にしてるのか?」 「まぁな……お前の足引っ張っている気がするから……だって、カイトはベース弾きたいんだろ?」 カイトは、ダイチの手首を掴み体ごと自分の方に引き寄せた。 そして、ダイチを抱き締めながら耳元で囁く。 「いいんだよ、お前は歌に専念すればよ……面倒な事は俺に任せておけ」 優しい微笑み。 そのまま、ダイチの頬にチュッとキスをした。 ダイチの顔はポッと赤くなった。 「……カイト、お前、優しすぎだろ……俺によ」 「気にする事はないさ……俺がしたくて勝手にしているだけだからよ」 カイトは、そのまま、ぎゅうっとダイチを抱き締めた。 「苦しいって……」 と、その時、奥から店員の声が聞こえてきた。 「お客様! 試奏の準備できましたよ! お客様?」 「あ、どうも! 行こうぜ、ダイチ」 「……ああ」 体を離し立ち上がるカイト。 ダイチは名残り惜しそうに後に続いた。 二人は、楽器屋を後にし古着屋へ来た。 店内にはありとあらゆるジャンルの服が所狭しと陳列され、ジャングルで宝物を探すようなワクワク気分を味わえる。 「なぁ、カイト。これ俺にどうかな? デニムパンツ」 「いいね……うわっ。でも、それヴィンテージだぞ?」 「本当か? うわっ、たかっ……じゃあ、こっちはどうだ?」 「へぇ……いいな。ダイチに合ってる。ステージ用でもいいけど普段使いもありだな」 「だろ?……カイトはさ、このブーツとか似合いそうだな……」 「なぁ、ダイチ。こっちへ来いよ」 「ん?」 カイトは突然ダイチに抱き付くと、強引に唇を奪った。 舌で唇を無理矢理こじ開け思いっきり吸い付く。 「んっ、んんっ。ぷはっ……。ば、バカ! カイト、お前、何やってんだよ、誰かに見られるって」 「大丈夫だろ……陰になってんだから見えねぇよ。それより、ほら、俺の触ってみろよ……ビンビンに勃ってからよ」 「うわっ……かてぇ。お前、何興奮してんだよ……」 「わかんねぇ」 「やっぱ、今日のフェスが待ち遠しいんだろ?」 「そうかもな……待ちにまった憧れのロックフェスだもんな……」 カイトは、ダイチに耳打ちをした。 「なぁ、ここで一発抜いていかないか?」 「アホか……こんな所でって……」 「ダイチ、俺は知ってるぞ? お前だって……固くしてんじゃねぇか? ほら……」 「ば、バカ……お前が股間を押し付けてくっからだろ」 「でも、考えてみろよ。実際抜いておかないとフェスに集中出来なくないか? ライブ中に抜くって訳にはいかないだろ?」 「確かにそうだが……」 悩むダイチに、カイトは満面の笑みでウインクしてみせた。 「な!」 「……ったく……カイト、お前な、そういう顔すんのずるいぞ!」 試着室に入った二人。 下半身をむき出しにし、勃起した男のモノ同士をピッタリと重ねる。 それを二人の手で握り締め、擦り付け合いながらしごいていく。 プリプリになった先端部分から吹き出す男の分泌液で、あたかもディープキスをしているかのようにくちゅくちゅと嫌らしい音を立てた。 「すげぇ……もうカイトの先っちょからエロ汁がドクドク出てるじゃねぇかよ」 「……お前のだって、人の事言えるか? 糸引いているじゃないか?」 「え? こ、これは違う……お前の我慢汁が俺のにくっついたんだって……」 「嘘つけ……こんなに甘い匂いさせてよ……お前のだろ?」 シュ、シュ、と加速させながらしごいていく。 二人、互いの悦楽に耐える辛そうな顔を見て、更に感情を昂らせる。 「……ダイチ、お前のチンコのビクビクが伝わってくるって……エロいぜ、お前」 「アホか! カイト、お前のチンコの痙攣だろ? 敏感すぎだって……」 煽り合う。 しかし、そんな二人はリンクして限界点に到達する。 ダイチは、辛そうな顔でうわずる声を出した。 「はぁ、はぁ……やばっ……もう、でそう」 「俺もだ……いっしょに」 「ああ、いくっ……うっ」 ドピュ、ピュ、ピュ……。 二人分のドロっとした精液が握り合う二人の手の中に溢れた。 カイトは、手のひらの白いミルクを見つめた。 「ダイチ、今日はずいぶんと出したな……俺より多くねぇか?」 ダイチは、その言葉にカーッと耳まで真っ赤にさせた。 ムキになって言い返す。 「……へ、変な事言うなよ! そんなわけあるかよ!」 「だって見てみろよ……萎えたチンコの先からもまだタラタラと垂れてるぞ……」 「え!?」 ダイチは、それを確認するや否や、前屈みで股間を必死に隠した。 そして、カイトから目を逸らして呟いた。 「な、なんか恥ずい……やべぇ、なんでだろ……お前の事、直視できねぇ……」 「ぷっ、変なやつ……後ろイキは平気でも前イキは恥ずいのか?」 「うっせぇ! わかんねぇよ! そんな事……」 ダイチは、今にも泣きそうな顔をして小さくなった。 カイトは、ダイチの頭をポンポンと撫でる。 「あははは! 可愛いぜ! お前!」 「ちぇ、からかうなよな……ガチで恥ずいんだから……それよか……お前の精子、甘っ」 ダイチは、自分の手をぺろぺろと舐めた。 「……ダイチさ、それ半分はお前の精子なんだが」 「じゃあ、精子返しだ!」 狙っていたかのように、ダイチはカイトに飛びついた。 そして唇を合わせ吸い付く。 「バカ、やめっ……んっんんんっ……ちゅぱ……ちゅぱ……はぁ、はぁ、んっんんっ、ぷはっ」 「はぁはぁ、どうだ?」 「甘っ……」 カイトの言葉に二人は笑い出す。 「ぷっ、あははは!」 「あははは! さぁ、行こうぜ、ダイチ」 「おう!」 そして、二人は身なりを整え、一路フェス会場に向かった。 **** フェス会場に到着した二人を待ち構えていたのは想像以上の盛り上がりだった。 カイトは、興奮気味に言った。 「すげぇ、人だぜ! たまらねぇな、フェスの雰囲気!」 「ああ、やばい、マジでやばい……めちゃくちゃ、興奮するぜ!」 ダイチも目をキラキラさせて、歓喜の声を上げる。 「おい、カイト、ステージ見ろよ! お目当てのバンド出てる!」 「マジで!? コラボとかサプライズすぎだろ!!」 **** 終始大興奮で、フェスを楽しんだ二人。 夜風に当たりながら、駅までの裏路地を歩く。 カイトは突然吠えた。 「うぉーーー、マジ最高! ゴホッ、ゴホッ……やべぇ、すっかり喉枯れちまった……」 「盛り上がったもんな……オレも……喉カスカス……」 「ダイチ、少し休もうか?」 「オーケー!」 二人は、河原のベンチに座った。 月の光が優しく辺りを照らす。 二人は、黙ったまま静かに水面に映る月を見つめていた。 ダイチが沈黙を破った。 「なぁ、カイト……俺達もいつか、あんなライブしてぇよな」 「そうだな……お前にはそのポテンシャルはあると思ってる」 「またそれかよ? 俺だけじゃなくて、俺達だろ?」 「ん? まぁな……」 「いつか、フェスでさ、俺達でメインステージでどかっとライブやろうぜ!」 「ああ、それが俺達の夢だ。いつか叶えよう」 ふと、ダイチは時間が気になってスマホを確認した。 「おっと、そろそろ帰らないと。明日バイト朝番だった」 「ああ、そっか。じゃあ、また」 「おう!」 「待てよ、ダイチ……」 カイトは、立ち上がるダイチの手をとった。 そして、自分の胸に押し付ける。 二人は見つめ合い、そして顔を近づけ唇を合わせた。 チュッ、と小さな音が鳴る。 「またな、カイト!」 「ああ。またな、ダイチ!」 カイトは、走りゆくダイチの背中を見送る。 姿が見えなくなると両手を空高く上げて大きな伸びをした。 「よし、俺が頑張らないとな……ダイチと俺の夢の為に!」 カイトもその場を後にした。
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