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自然たるさだめ
一方山に残った妹の蝶。
文字通り姉の蝶が旅立ってからその山で変化が起こった。
ある一匹の雄蝶から求愛を受けたのである。
その雄蝶はその山で最も弱い雄蝶であった。
こうして妹の蝶はつがいとなり子種を産み蝶としての一生を終えた。
それは妹の蝶の言った通り。
醜きもの、いや平凡たるものの定めであった。
いやいやもっと残酷に言えば日陰ものの光を遮る『もの』が無くなったからであろう。
それは他ならぬ美しき姉の存在であったのだ。
美しい筈の姉の蝶は子孫を残せず。
醜い筈の妹の蝶は子孫を残した。
人間は至極不自然で、そして自然界のものの言った通り『すべてを奪う悪しきものども』に違いないであろう。
加えて人間側の身勝手な考えを敢えて言うならばそれはただ一言。
『美しさは罪』
唯体裁よく耳障りの良い事柄だけを挙げれば
姉妹ともに自分たちを退屈にさせたある種の願いはお互いに叶ったのであった。
此でこの話は仕舞いである。
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