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入ってきたドアを開けたと思ったら、外の螺旋階段に繋がるドアだった。
でも、迷子になって時間が長くなるより、外に出て、店の入口から入る方が早いと思った。
螺旋階段を降り始めたら、瑞希さんが、他のスタッフさんと買い出しから帰ってきた所で、螺旋階段の真ん中くらいで、すれ違った。
「あれ?優奈、どうした?」
「美咲さんが、休憩所から、私と瑞希さんの事探るために、携帯をすり替えてたし、返してもらいに行ってたの…。
店に戻るドアが分からなくて、こっちに…。」
私が、そう言って、不貞腐れた顔をしたら、瑞希さんは、持っていた買い物袋を、スタッフさんに渡した。
「ちょっと、優奈と話してから戻るし、先に、それ、持ってって…。」
スタッフさんは、瑞希さんから、買い物袋を受け取ると螺旋階段を上がって行った。
「…優奈…。
美咲とは、ちゃんと別れてるから…。
もし、また、こんな事があったら、すぐに言えよ。」
瑞希さんは、そう言って、私を抱き締めてくれた。
「…分かってるけど…最近、こういう事ばっかり…。
てか、毎日、家の方に、美咲さん達が集まってパーティしてるし、瑞希さんは、毎日、美咲さんと会ってるって思ったら、不安になるよ…。
何で、毎日、来るの?
別れてるのに……何で、冷たくしてくれないの?
毎日……美咲さんの嫌がらせばっかだし、もう、やだよ!!」
私は、そう言って泣きそうになった。
そしたら、瑞希さんは、私の頭を、優しく撫でてくれた。
「ごめんな…優奈。
アイツは、お得意様の取り引き先の社長の娘さんで、別れた事は伝えたけど、あまり、邪険にもできなくて…。
愛してるのは、お前だけだから…。」
「…瑞希さんの大切な人なのも、分かってるけど…辛いよ…。」
私は、そう言って泣き出してしまった。
瑞希さんは、そんな私を、強く抱き締め、私の顎をクイッと上げて、私の涙を拭ってから、優しいキスをしてくれた。
「ほら、早く戻らなきゃなのに、そんな泣いてたら目が腫れるぞ!
夜は、2人っきりになれるから、我慢してくれ…。」
瑞希さんは、そう言って、もう一度、キスをしてきた。
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