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夏休みに入ってすぐ、町内に報じられた訃報。
小学生の男の子が交通事故で亡くなった。
それを聞いてから毎日、その子のお兄ちゃんが、ラジオ体操のスタンプを二人分もらいに来た。
「弟も、本当来たかったと思います。だからこのカードにもスタンプを押して下さい」
快諾し、二枚のカードに押したスタンプ。町内のラジオ体操が終わる日までこのやり取りは繰り返された。
弟のためにスタンプをもらいに来るなんて、いいお兄ちゃんだ。でも、キミの弟は今、夜更かししすぎて家で寝てる。親御さんから直接聞いたから間違いないよ。
事故で亡くなったのは兄弟のお兄さん。だけど、弟と一緒にラジオ体操に皆勤すると誓っていたから、それを果たさないと成仏できないらしい。
無事、スタンプは押し尽くした。これで晴れて皆勤賞だよ。
嬉しそうに笑った姿が薄れていく。それに手を合わせ、彼の冥福を祈った。
ああ、だけど、今も家で寝ている弟さんには、スタンプが完璧でも皆勤賞はあげられないから。それは理解してくれよな。
ラジオ体操のスタンプ…完
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