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イリゼはそう口をついて出そうになったのを何とか堪えた。代わりにつぷり、と長く節だった指が蜜壷に差し入れられ、今度こそ喉をそらしながらイリゼは「ああっ」と淫らに喘ぎ声だけを漏らす。
「ほら。まだ、蕩けたままだな? ああ、柔らかい。温かいな?」
「い、いわないで」
一晩中擦られ続けたいちばん敏感な部分に遠慮なく硬い指の腹を当てられ、自分でする時にはとても届かぬあたりまで、わざと官能を高めるようににちゃりにちゃり、と音を立てながら執拗な刺激を繰り返される。
「ひゃぁ……、あっ、だめ」
イリゼはしがみついた背中にかなり強く爪を立てたが男はまるで意に介さない。彼はむくりと起き上がると、イリゼを素早く組み敷いた。そして美しい恋人が零し続ける悩ましい吐息を奪うように荒々しく口付けてくる。そのまま見る見るうちに硬さを取り戻した屹立を柔い尻にあてられて、イリゼを誘惑する様に動かされた。
「やあっ……」
「いいな? イリゼ?」
「ん……。や……」
イリゼの形ばかりの抵抗など彼を味わうために撒かれた香辛料だとでも言わんばかりだ。聞き分けのない男は熱い吐息を耳元に吹きかけ、獣が獲物の味見をするかのように耳朶を舐め上げる。
ぴちゃぴちゃとわざと音を立てて弱い部分を攻められて、いよいよ抵抗は止みぐずぐずと身体は蕩け切る。
(駄目……。離れがたくなるから、やめて)
「あ、ああっ!」
そう言いたかったのに。自分で出しているとは思えぬほどの湿った甘い声色のため息が先走り、裏腹な心をまた裏切る。
「して……。奥まで来て。ダイ……。俺を離さないで」
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