10愛する人

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 時の流れから飛び出した青年をついに掴まえたという支配欲と、指輪をした指先から身体の中に確かに自分のものとは違う力が漲り、じりじりと熱い塊となって流れていることを感じ、ダイは歓喜に打ち震え叫んだ。 「掴まえた。イリゼ。……永遠に、俺だけのものだ!」  ダイは両手で掴み上げた白い腰にべったりと手形をつけながら、砕けんばかりに穿ち続ける。そのまま一度自分を捨てかけた恋人への恨みつらみすら越えた愛欲の全てをその奥へと放ち続けた。緩々と長い吐精が終わり、漸くダイの長大な一物がずるずると引き抜かれた。ぐったりしたイリゼがほっとしたのも束の間、再び荒々しく仰向けに裏返される。  青い瞳が僅かな月明かりだけの暗がりで光り、赤い髪からも逞しい身体のシルエットに沿って焔のように燃え立つ生命力と魔力の炎がダイを取り巻いているようにイリゼには見える。 (ああ……。ダイ。まるで赤い毛並みのしなやかな獣のよう。本当に綺麗……。お前に丸ごと喰われるなら本望だよ。俺はもう、指一本……。動かせられないもの)  ぐったりとしたイリゼの瞳にはダイが荒い息を吐きながら再び覆いかぶさり一心不乱に自分を犯そうとする様を映し、このままこの美しい獣に何度も舐られた胸も首筋も貪り食われ、一つになれてしまえたら幸せだと、そんな淫らな夢想を浮かべながら意識を手放した。  
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