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「ジャスミン?」
初めて会った時、見た目は思い切り日本人である彼女を、無礼にも繁々と見つめてしまった。
「フフ。よくその反応される。ジャスミンは本名よ。私のおじいちゃんが中東の人なの。でも、それ以外の家族は日本人で、残念ながら私の見た目に中東の遺伝子は反映されなかったみたい。」
ジャスミンは慣れているのか、なんでもない風に答えた。
「すごい美人。」
「綺麗な髪。」
「お肌ツルツルね。」
私は呆気に取られて、短い言葉を連発していた。
「でしょ?無敵のルックスだよね。中身も素敵な人よ。」
隣で悠香が、嬉しそうに答える。
「私なんかがルームメイトでいいの?」
と私が聞くと
「あなたみたいな人を探してたの。」
とジャスミンが答えた。
聞けば、ジャスミンはその見た目から、お高く留まった美人ばかりが友人になろうと近寄ってくるらしい。
だけど、そういう人間がジャスミンには負担らしく、私みたいな少し控えめな子を探していたらしい。
「うちには、もう1人ルームメイトがいるの。すごく良い子よ。」
とにかく環境を変えたかった私は、どうにでもなれと言わんばかりに、この運のいい誘いに乗った。
そうしたら、今までのことが嘘みたいに気持ちが楽になった。
無論、彼氏と職を一気に失ったショックを引きずったままだったけど。
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