メゾン ド 琥珀

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私よりも若くて、「見た目は可愛いけど少し変わった高田君」を見たいがために、休憩時間を10分ほど早く終わらせて、私は第2工場へ向かう。 途中、仕事道具のタブレットをとりに事務所によると 「あら、琥珀ちゃん、休憩時間少し残ってるわよ。しっかり休憩してね。」 と社長の奥さんに声をかけられた。今のところ、私は大事にされている。 「はい。」 と謙虚ぶって返事をすると迷う事なく第2工場へ向かった。 本工場を出て、狭い通路を渡ると第2工場に続いている。 アルミの、油が染みてじっとりとしたドアをこじ開けると、本工場よりもさらに空気は澱んでいた。 少し怯んだけど、お目当ての高田君の為だと思って私は道を進む。 本工場の機械と同じように、端の機械からこれまたギトギトの画面をチェックする。 初めは誰もいないかと思ったけど、一番奥の機械の方で、機械にエアーをかける音がする。きっと高田君だ。 少し緊張しながら一つ一つ、機械をチェックしていく。 そうしながら9台目、その最後の機械まで辿り着いた時、私よりも少しだけ背の高い、油で真っ黒に汚れた作業着の男の人が作業をしていた。 ふと私の方を見ると 「あ、どうも。」 と言った。新入社員が入ったという事は知っていたらしい。 「あ、あの、私、新人の間宮琥珀です。よろしく願いします。」 と私が言うと 「琥珀さんですよね。お名前だけは聞いてます。」 と言った後、びっくりするくらい爽やかな笑顔を向けてくれた。
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