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きいろの柔らかそうな後ろ姿を見送ってから、マッサージを始める前に淹れたほうじ茶を飲み干す。
続けてジャスミンがノックをして部屋の外から私に声をかける。
「琥珀、お風呂いつ入る?私、先入っていい?」
「どうぞー。」
琥珀は私の名前。
答えてから、自分の風呂の準備を始める。ジャスミンが風呂から出てきたら、自分もすぐに入れるように。
風呂の支度をしていると、きいろがまたやってきて言った。
「琥珀、私のドライヤー、好きな時に使って良いからね。だってそれ、全然乾かないよ。」
私の薄いブルーの小さなドライヤーを指差しながら早口に言うきいろは、服を着て、肩からカバンをさげている。
「ありがとう。出かけるの?」
「うん。コンビニに。食べるもの買いに。」
私達は一緒に住んでいるけど、夕飯を一緒に食べることはほとんどない。
きいろは、多分食べたり食べなかったり。ジャスミンは、たいて誰かと外食。
私は、ほんの少量だけ自炊して食べる。
「きいちゃん。」
私は急に心細くなってきいろに声を掛ける。
「何?」
「今日は帰ってくるの?」
たまに帰ってこない時があるのだ。
「すぐに帰るよ。何か、甘いものでも買ってようか?」
多分、心細くなった私の心を見透かしている。
「私も行く。」
風呂の準備を放り出して、財布だけ掴んでパーカーを羽織る。
少し驚いた様子のきいろに
「ちょっと風にあたりたいの。」
と言い訳をする。
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