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私がお気に入りのガラスのコップに紅茶を並々とついで部屋に戻ると、部屋の主である私よりも先に、きいろが胡座をかいて床に座っていた。すでに缶ビールを飲み始めている。
私には銘柄は分からないが、ラベルから察するに、海外のもので多分高価なビールなのだろう。
きいろは時々勝手に部屋に入って来るけど、私は怒らない。
彼女の訪問を、むしろ歓迎している。
人付き合いが随分苦手だと思っている私にとって、これは驚くべきことだった。
「ウイスキー?」
と尋ねるきいろに
「まさか。」
と答えると
「だよね。」
という答えが返ってくる。私のアルコール嫌いを、きちんと把握してくれている。
遅れてジャスミンがやってくる。
「ごめんくださーい。」
ジャスミンはワインを持って現れた。
信じられないくらい大きなワイングラスには、3センチほど赤ワインが入っていて、グラスを持っている手と反対側の脇の下に、大容量の袋入りスナックを挟んでいる。
「でか。」
体ごとスナックを差し出したジャスミンからスナックを受け取ったきいろが、早速テーブルの上で袋を開ける。
紅茶とビールとワイン。私は、アルコールが苦手な自分を恨めしく思いながら3人の飲み物を見つめる。
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