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「わたし、理学部の桃瀬佳那。よろしくね」
「え!あたしも理学部だよ!白都まゆかっていうの」
入学式前から同じ学部の子と知り合えるとは、なんてラッキーだろう。
「すごい偶然だね!これから仲良くしよ」
ID交換したスマホ画面を見ると、テーマパークに友達と行ったと思われる写真がアイコンに設定されていた。
あたしもカナちゃんとこんなふうに遊べるようになるかな。
早速同じ学部の子と友達に慣れて嬉しくなる。
スマホを握り嬉しさを噛みしめていたあたしに向かって、後ろから村崎が、「一緒におふたりで食事をされてきてはいかがです?」と言ってきた。
「まゆかちゃんさえ良かったら。えーと、まゆかちゃんのお兄さん?」
「いえ、私はし__」
執事、と言いかけた男の口を慌てて両手で塞ぐ。
「この人は村崎さん!引越しの手伝いにきてくれた親戚のおじさんなの!今からおじさんが帰るのを見送るところだったんだけど、すぐに戻るから良かったらご飯行こ!」
そう言うと、カナちゃんは何度か瞬きした後、「うん、待ってるね」と言ってくれた。
村崎の背中を押してエレベーターまで連れて行くと、ドアが閉まるまで笑顔でカナちゃんに手を振った。
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