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「ナイスアシストだけど、執事ってのは余計よ」
エレベーターのドアが閉まってから、あたしは腕を組み村崎を睨みつけた。
村崎は優雅な微笑みを浮かべたまま胸に手を当て「申し訳ございません」と口にする。
「とにかく、今日はこのまま帰っていいわ。明日からの手伝いは不要よ。遼くんだって、あなたがいないと困るでしょう」
エレベーターが1階につき、ドアが開いた。
エントランスを通って外に出てから、立ち止まって村崎と向かい合う。
「今日はありがとう。助かったわ」
素直にお礼を言うと、村崎は恭しくお辞儀をした。
「いえ、当然のことです。なにせまゆか様は、遼雅様の婚約者でいらっしゃいますから」
「村崎!」
あたしは村崎の放った一言にはっとなって彼を呼び止めた。
「何度も言わせないで。あたし達はそんな関係じゃないわ」
そう言うと、再び村崎は恭しいお辞儀をする。
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