1、そもそもあいつは…

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「ナイスアシストだけど、執事ってのは余計よ」   エレベーターのドアが閉まってから、あたしは腕を組み村崎を睨みつけた。 村崎は優雅な微笑みを浮かべたまま胸に手を当て「申し訳ございません」と口にする。 「とにかく、今日はこのまま帰っていいわ。明日からの手伝いは不要よ。(りょう)くんだって、あなたがいないと困るでしょう」   エレベーターが1階につき、ドアが開いた。 エントランスを通って外に出てから、立ち止まって村崎と向かい合う。 「今日はありがとう。助かったわ」   素直にお礼を言うと、村崎は恭しくお辞儀をした。 「いえ、当然のことです。なにせまゆか様は、遼雅(りょうが)様の婚約者でいらっしゃいますから」 「村崎!」   あたしは村崎の放った一言にはっとなって彼を呼び止めた。 「何度も言わせないで。あたし達はそんな関係じゃないわ」   そう言うと、再び村崎は恭しいお辞儀をする。
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