1、そもそもあいつは…

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大きくなってからも、それは変わらなかった。 わがままで、横暴で、本当にいやなやつ。 ……それでも、あたしは遼くんのわがままのわけを知っていたから、許せたんだ。   でも、成長するにつれて、あたしは彼との差を感じるようになった。 学校の成績は平均で、料理も出来なければ裁縫もできない。 顔には少しくらい自信はあったけど、遼くんを好きだという人にはもっときれいでスタイルのいい人がいっぱいいた。 それに、遼くんはなにをさせても完璧で、あたしは彼のそばにいるのがつらくなった。 あたしにはなにもなかった。遼くんのせいで相談できる友達もいなかったあたしは、ずっとこのもやもやした気持ちを抱えていた。 遼くんを好きだという子達に嫌がらせされて、ますますその気持ちは大きくなった。   …極めつけは、遼くんの進路のこと。
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