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遼くんは最後まであたしについてくるものだとばかり思っていた。
それなのに、遼くんは先生に勧められるままに超難関の国立大を受けて見事合格した。
先生達は手放しに喜んでいた。
遼くんはなにも言わなかったけれど、人一倍他人の感情の変化に敏感な彼のことだ。先生達の期待に沿うことが出来てうれしかったのに決まっている。
きっとあの大学に通うのだろう。
あたし達の住んでたマンションから少し遠い大学。
あたしの成績では受験すると口に出すことすら許されない一流大学。
通うなら一人暮らしするのだろうか。
あたしは、遼くんと一緒にいることがつらくて、けれど同時に遼くんのいない将来なんて考えることすらできなかったのに、遼くんはなんの相談もなく進路を決めた。
学校の噂で遼くんの受験先をきいたあたしの気持ちにもなってほしいものだ。
だからあたしも、黙って清大を受験した。
遼くんがあたしから離れるつもりなのなら、あたしもいい加減遼くん離れしなきゃ、そう思った。
それなのに。
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