1、そもそもあいつは…

17/27

24人が本棚に入れています
本棚に追加
/61ページ
気まずそうに村崎はあたしから目を逸らすと、「もう行かなければ」と言って行ってしまった。 あたしは、カナちゃんを待たせてしまっていたことを思い出し、慌ててエレベータに乗り込んだ。   あいつのことを考えていたって仕方ない。 もう同じマンションに住んでいるわけじゃないし、学校だって違う。 今まではただ、物理的に近い位置にいただけ。 もう会うこともないのかもしれない。   なんで、こんなもの渡してきたのよ。   あたしは、胸元の指輪をぎゅっと握りしめた。 村崎に預けて返してもらえばよかった、そう思った。
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加