わがまま王子と嘘つき姫

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初めてあなたと会った時、きれいな子だと思った。 でも、あなたのきつい喋り方やわがままっぷりに、すぐに嫌な子だと思ったわ。 だけど、あたし、我慢したの。 大好きなパパの頼み事だもの。 パパは、彼の友達になってあげられるのは、あたしにしかできないことだと言った。 だから、あたし頑張ってあなたといいお友達になろうとしたのよ。 好き嫌いが激しくて、偉そうで、みんなに優しくされてもそれが当然といった顔をしたあなたを見ているうち、あたし気がついたの。 みんなが、あなたのわがままに嫌がるそぶりも見せずに付き合っていて__ううん、むしろ、みんな微笑ましそうにあなたを見て、あなたのわがままを叶えてあげようとしていた。 そしてあたしは、あなたのわがままの意味を知った。 あなたは、大好きなみんなをつなぎとめようとしていたんでしょう? 素直になれないあなたには、わがままだけが唯一の愛情表現だったのよね。 あなたは、いつしかあなたの両親のように、あたし達がいなくなっちゃうんじゃないかって、ずっと不安だったのよね。   そのことに気づいた時、あなたの寂しさを知った。   あなたの周りに誰もいなくなって、あなたがひとりぼっちになったとしても、最後のひとりになったとしても、あなたのそばにいようと思ったの。   確かに、あの頃はそう思っていたのよ…?
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