1、そもそもあいつは…

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その様子を見て、子供ながらにおかしいと感じながらも、あたしは父に言われるがまま彼と一緒に過ごすようになった。 村崎が運転する車で一緒に登下校して、学校が終わったら彼の家で一緒に遊んだ。 最初のうちは面倒そうな顔をされていたが、人嫌いの野良猫が少しずつ懐いてくるみたいに、いつの間にか彼の方から進んであたしのそばにいるようになった。   彼の両親はパパの親友だった。 母親は<プリンセス>の社長令嬢、父親はあたしのパパと同期で営業部の元エースで当時は三十代で部長職を勤めるやり手だった。 彼の父親が若くして大病を患い、母親は心を病んだ。 パパは彼の父親から「妻と息子を頼む」言われ、なんでもすると約束したのだと教えてくれた。   夫の死が受け入れられなかった彼の母親は、夫によく似た子供を見るのを嫌がった。 手をあげることすらあり、それを知ったパパは子供と距離を置き、何か別の没頭できるものを見つけることを提案した。 彼の父親が担当していた新プロジェクトを引き継いだ母親は、夫の死後仕事に没頭し、新ブランド<クイーン>は、社会で闘う女性をターゲットに売上を伸ばしている。
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