1、そもそもあいつは…

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1、そもそもあいつは…

「着きましたよ、まゆかさま」 肩を叩かれ、あたしははっと目を覚ました。 なんだか、懐かしい夢を見ていた気がする。   見慣れない景色にここはどこだろうと周りを見回して、自分がリムジンの後部座席に座り、うたた寝をしていたことに気がついた。 普段は昼寝なんてしないのに、新生活のバタバタで疲れていたのだろうと思う。   見上げると、ドアの向こうにスーツ姿の男が優しい笑みを浮かべて立っていた。 彼の名前は村崎という。執事といういまどきめずらしい仕事ををしている。 執事と言っても漫画のように燕尾服などは着ていない。 その代わり180センチの長身に高級スーツをビシッと着こなし、白い手袋をはめて仕事をしている。 確か歳は35歳。なんでもそつなくこなす完璧な執事であり、愛妻家で今年小学校に上がる娘をもつパパでもある。 執事と言ってもあたしの執事ではなく、あたしの幼馴染に仕えている。 「ごめん、寝るつもりはなかったんだけど」
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