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この人と話をしているだけ無駄だ。
そう思ってホールに戻ろうとしたあたしの腕を遼くんが掴む。
遼くんは躊躇うように視線を泳がせた後、あたしの方を見てこう訊いてきた。
「どうして、黙ってここ受験したの?」
その言葉はひどく胸に突き刺さった。
ずっと彼に後ろめたいと思っていたことだったからだ。
あたしはとっさに目を逸らした。
「だって、遼くん――」
「そこのふたり、もう入学式始まりますよ」
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