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お偉いさんの話を聞き続ける入学式という名の講演会が終わると、カナに説明する暇も与えられないまま遼くんに外に連れ出された。
入学式の後一緒に帰る約束をしていたと言うのに、この男は突然現れてあたしのじゃまばかりしてくる。
遼くんに手を引かれながら「ごめんね!」と言うと、カナは「後で話聞かせてよー!」と手を振ってくれた。…今から説明が憂鬱だ。
駐車場まで行くと、村崎の運転するリムジンがある。
「遼雅さま、まゆかさま、ご入学おめでとうございます」
ただでさえリムジンで目立っていたというのに、運転席から現れた村崎が恭しくそんなことを言ってくるものだからまわりにじろじろと見られている。
…こんなことで目立ちたくないのに!
「村崎、俺の部屋へ向かえ」
「かしこまりました」
遼くんも村崎もそんなあたしにはおかまいなしにそんなやりとりを続けている。
ふと、その言葉に違和感を感じた。
俺の部屋って…
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