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「うん、だって家からじゃ遠いじゃん」
…終わった。完全にあたしの計画は終わった。
入学式に遼くんが現れた時点でただでは済まないだろうと思っていたけれど、予想以上のことが起こっていた。
離れられたと思ったのに、結局同じマンションに住むなんて、もう絶対逃げられない。
「ていうか、隣じゃないの!あたしがあの部屋に住むって知ってたの!?」
「村崎が手伝いに行くのに俺が知らないわけないだろう」
それもそうだ。だけど、だとしたらどうして今まで隠していたのか。
一緒の大学だってことも、一緒のマンションだってことも、早く教えてくれたらよかったのに。
「村崎も!昨日遼くんに呼ばれたって外に出てったじゃない!遼くん昨日からここに住んでたんでしょ!」
「私は、遼雅さまに言われて夜ご飯を買いに行ったのです。騙したのではありませんよ」
飄々と村崎はそう言う。どこまで本当なんだか。
遼くんの部屋で、ローテーブルを挟んで向かい合うように置かれた真新しいソファに座りあたし達も向き合う。
冷たい遼くんの目に見つめられてあたしは体を小さくした。
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