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無地の白シャツに黒のジャケット、パンツ、スニーカーという普通の大学生のような格好をしていても、トートバッグ片手に気怠そうに立っていても、何故か見る者すべてに上品さと華やかさを感じさせる。
細身ながらも引き締まった体の上についているキレイな顔のせいか、普通の格好に見えて身につけている物全てがブランド物だからなのか、最早あたしにはわからない。
わかるのは、コイツがとんでもなく目立っているということと、そのせいであたしも目立ってしまっているということだけだ。
あたしは、ため息をついて隣に座るカナに席を1つずらすようお願いした。
あたしも1つ隣の席に座りなおすと、自分が元いた席をとん、と手で叩く。
「座るなら早く座って」
遼くんは満足げに座ると、「メッセージ、見た?」と聞いてきた。
既読は付けたのだから見ていることはわかっているだろうにわざわざ聞いてくる。
「無視した」と言うと、「ひどいな」と困ったように笑った。
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