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あたし達の様子を見て、直接声をかけるのを躊躇ったのか、ゆかりとあいがカナにあたし達の関係を訊いているのが聞こえる。
カナがなんだか大袈裟に話している気がしたが、とりあえず「付き合ってない」とだけ否定しておいた。
「昨日、夕方まで帰ってきてなかったみたいだけど、どこに行ってたの」
「カナと買い物してたの」
遼くんがあたしの後ろに目をやる。
隣に座るカナが遼くんと目が合い少し戸惑ったような表情を見せた。
「まゆちゃんのお友達?」
そう訊かれカナが声もなく頷いた。
「そう。俺は黒宮遼雅。まゆちゃんのこと、よろしくね」
遼くんが軽く微笑んで見せると、周りから押し殺したような悲鳴が上がる。
ああ、この大学にも遼くんのファンができてしまった。
うんざりしていると、うさんくさい笑顔を浮かべた遼くんと目があった。
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